6月17日(日)わわプロジェクトルームにて、ADcafe.311 vol.06が開催されました。
今回も、各地で復興支援を行う4つのプロジェクトを取り上げ、これまでの活動についてお話を伺いました。
被災地の漁師さんのためのマイクロファイナンス事業を主軸とした活動が行わわれているそうです。その仕組みとは、被災者支援の漁師さんに小口の資金を提供し、その資金が漁師さんの漁船・漁具となり、その生産手段によって漁獲された魚介類が、資金提供者に配当として支払われるというものです。被災者支援としてのこのような”ファンド”は、現在とても広く行われているとのことでした。同プロジェクトでは、南三陸町清水港漁港付近でワカメなどの漁をされている佐藤長治さん(愛称”ちょうさん”)への支援を行ってきました。一方で、ちょうさん個人への支援をすることに関して、同じ浜の漁師さんたちへの配慮など、浜全体への支援も視野に入れていく考えもあるようです。
建築家坂茂が率いるボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク(VAN)の宮幸茂さんは、仮設住宅の住環境改善プロジェクトでの活動をお話しされました。
同プロジェクトでは、今年3月4日から3月11日にかけて、宮城県女川町を対象とし、町内30ヶ所の仮設住宅団地の全1294世帯のうち426世帯を訪問し、住環境の問題点について明らかにする調査を行い、また、そこでの調査結果をもとに、少しでも心豊かに暮らすために必要なものを作り、現地に提供することを計画されているとのことです。
そして、神戸大学院生の友渕貴之さんは、横浜市立大・鈴木研究室、神戸大槻橋研究室、東北芸工大・竹内研究室が中心となって取り組んでいる気仙沼市唐桑町大沢地区の高台移転・まちづくりについての住民とのワークショップ「大沢みらい集会」についてお話しくださいました。
気仙沼市唐桑町大沢地区は、津波によって9割の世帯が被害に受けた地域です。政府の規制によって同じ場所にはもう家を立てることはできないそうです。そこで同地区では、かつてのコミュニティを維持するために高台移転案が計画されています。大沢みらい集会では、高台移転後の街並を模型にて再現し、今後の街のイメージをふくらませながら議論していく活動をされています。
また、庭師を中心に集まり被災地で植樹など様々な活動をされている、庭JAPANの古川乾提さん。
古川さんたちは重機を使用できるということで、初期の活動時では瓦礫処理やヘドロの処理などを行っておられたそうですが、それから個人の邸宅などの庭の修復作業を無料で行う活動を始めたそうです。本来、庭師のお仕事は依頼主との信頼関係を築くことで、依頼主の理想に合わせた庭を共に構築していく考え方が根底にあるとのこと。それが結果として現在の活動において、被災者の方と痛みを共有し、共に作り上げる意識を強固なものにするようです。しかしその一方で、現地の庭師の方々との関係性が課題としてあるとお話くださいました。
トークの後半戦。それぞれの活動紹介後のフリートークです。
ここでは、支援活動の継続方針、行政と支援プロジェクトの関係性、他の同様支援プロジェクトとの連携、また支援活動の不平等性などについて話し合われました。
支援活動の継続方針においては、やはり金銭的な問題がネックとなる場合が多く、長期的な活動を続けていくための資金調達はどのプロジェクトにとっても避けられない課題であるようです。
また行政との連携においては、民間のプロジェクトである場合はなかなか理解を得られないこともあるようですが、大学などの教育機関やプロジェクトリーダーの有名性によっては、連携しやすいということもあります。しかし、必ずしも行政との連携が至上という訳ではなく、個人と個人の間で行われる密度の高い支援も充分に行っていく必要があるとの意見も聞かれました。
そして、現在たくさんのボランティア団体が支援を行う中で、同地域で同じような活動をしている団体も多く見られます。実情としては、なかなか各ボランティア団体間の連携活動は積極的に行われているとの報告はあまりなく、むしろ覇権争いのような空気感も感じられるとの、現場に行かれている人ならではの声も聞かれました。今後支援活動を継続していく上でも、行政または他のプロジェクトとも連携をはかるということが重要になってくるのではないかということでした。
支援活動の不平等性においては、頻繁に支援プロジェクトが訪れる地域とそうでない地域との差などについての議論がなされました。
予定の時間を少しオーバーしながらも、最後の最後までみなさんの真摯な活動への姿勢やディスカッションに、心熱くなる3時間でした。次回の開催は、8~9月の予定だそうです。
是非、次回も足を運ばれてみてはいかがでしょうか。