東日本大震災後、寄付だけではなく、他に何かできることはないかと考え、被災地へ寄り添う気持ちを形にして、東京から発信しようと思い立ち、ささやかな公演を始めました。 震災から5年目の今年、KATO企画の公演も5回目を迎えました。 震災後、いろいろな出会いがあり、そのおかげで、今回の公演のプログラムが決まりました。 第一部は、石神夏希作「仮設のイーハトーヴ」より3編を朗読、第二部は和合亮一さんのトークと朗読でした。
公演に先立ち花巻の林風舎、賢治の記念館、童話村、イーハトーヴ館に行ってきました。「仮設のイーハトーヴ」のもととなった賢治の作品を感じるため、朗読する「注文の多い料理店」「銀河鉄道の夜」「シグナルとシグナレス」のイメージを膨らませるための旅でした。
公演当日、会場いっぱいのお客様に、私たちの想いを届ける公演ができました。 時が経つにつれ震災の記憶が風化してしまい、被災地の再生が後回しなっている感がぬぐえない今、時の経過では癒えない悲しみ、苦しみがあり、まだまだ復興への道のりが遠いことを改めて思う一日でもありました。 朗読した3編が掲載されている「わわ新聞」をお客様に配布し、読んでいただくこともできました。賢治の作品を下敷きに石神夏希さんが書き換えられた作品を、ピアノとギターの演奏を交えて朗読しました。
第二部の和合さんは、震災直後から今に至るご自分のことや被災地のこと、詩を書くことと朗読することについて、など、時にユーモアを交えながら話され、心に沁みる朗読と共に、聴いているみなさんに深く響いているのを感じました。
夕方の回には、石神夏希さんが来て下さり、終演後、お話しすることができたのは、嬉しいサプライズでした。 たくさんの方に支えられ、今回も無事に公演をすることができ、「明日へ」の想いを共有できたのではないかと思い、感謝の気持ちでいっぱいです。
文:加藤素子 1946年東京生まれ、現在は川崎市在住。 38年間の教員生活後、2006年~2014年まで、「さいたまゴールド・シアター」団員として活動。2011年、KATO企画を立ち上げ、いろいろな劇団の公演に出演しながら、鎮魂と再生への祈りを込めて被災地支援のための公演を続けている。http://ameblo.jp/kato-kikaku/