地域活性プロジェクト【MUSUBU】

活動地域:福島県いわき市 / 東京

インタビュー:末永早夏(すえながさやか)/地域活性プロジェクト【MUSUBU】

絆を結ぶ。夢を結ぶ。世界を結ぶ。
人、地域、芸術、デザイン、情報などあらゆる分野を結びクリエイティブな産業を生み出す地域活性プロジェクト。
MUSUBUを通して個々が主体となる地域活性を促進し、持続可能な街づくりを福島から全国、そして世界へ発信する。
2011年3月11日の東日本大震災後に出会った、福島県いわき市小名浜出身者で結成。
福島県いわき市と東京を拠点に活動中。
地域活性活動の企画・運営、イベント企画・運営、商品のコラボレーション企画や開発、PRも行う。オリジナルアイテムを販売するOnlineShop(http://musubu.shop-pro.jp/)もオープン。

フクシマから世界へ
宝を発信する

当事者になってはじめてわかったこと

震災後、一気にその名前が世界中に知られることになった”福島”。ネガティブなイメージばかりが伝わってしまうなかで、自分たちの町が持つ”良いもの・宝”を発信していこうと活動する団体がある。それが福島第一原発から50km圏内にあるいわき市小名浜出身者で結成された『地域活性プロジェクト【MUSUBU】』だ。メンバーである末永さんは、いわき市でフェアトレードのコーヒー豆を販売する『株式会社ethicafe』の代表でもある。末永さんの支援活動は震災直後、【MUSUBU】の立ち上げ前にさかのぼる。

「原発建屋が水素爆発を起こした1日目に家族会議をして、そのときは自宅にとどまりましたが翌日、もうひとつが爆発したときには”ここを出よう”と、東京に住む兄のところに避難しました。ただ、地元に残った友人たちから”地震以降まったく物資が入ってこない”と聞いたので、いてもたってもいられなくなり、”(物資を)自分で持って帰ろう”と考えました」

twitter上で物資・ドライバー・トラック募集の呼びかけを行ったところ、100名以上の人たちが集まり、トラック1台分の物資とドライバーを確保。すぐさま小名浜へ向かい、翌日には仕分けの協力をツイートした。すると、地元の若者15名ほどが軍手とマスク姿で集まってくれたのだ。その後も支援物資の配布や炊き出しなどの活動を行っていたが、徐々に必要とされることも変化する。4月13日に支援物資部隊をひとまず解散し、次の活動に移りはじめた。

「復旧・復興活動だけでなく、長期的な地域活性を視野に入れて活動をしていこうと考えました。そして、一緒に活動していた地元出身者で『地域活性プロジェクト【MUSUBU】』を立ち上げました。その名の通り、”人と地域と世界を結ぶ”という意味を込めています。今回の震災を通して、はじめて自分が当事者になりました。そしてあらためて”いかに外の人たちに関心を持ち続けてもらうか?”ということが大切なんだと痛感しました。情報を発信し続け、これからも”福島で起きていること”を見続けていただきたいです」

“助けて”のメッセージから、宝を伝えるメッセージへ

いわきから明るいニュースを世界に発信するべく、【MUSUBU】は音楽イベント、スポーツイベント、仮設住宅に入居した人たちとのコミュニケーションづくりのための”場づくり”を企画している。6月26日には、津波の被害を受けた小名浜潮目交流館で『Hooked on Iwaki Vol.1 〜小名浜潮目交流館をキレイにして音楽を聴こう!〜』を開催。まだ泥が残り、もちろん電気も通っていない会場を整備するところからのはじまりだった。

「”Hooked on”には”夢中になる・ハマる”という意味があるんですが、このイベントをきっかけに小名浜が復興に向けて一歩踏み出したというのをメッセージとして発信していけたらと。会場となった小名浜潮目交流館は津波で大きなダメージを受けていましたが、前日の25日にボランティアの方に呼びかけて泥の掃除をして、発電機を入れて、照明をつけて、翌日のイベントに備えました。10年ほど前にいわき市の海岸でプロモーションビデオを撮影したミュージシャン”くるり”に参加していただき、大雨の中多くの地元の方に集まっていただき、とてもあたたかい雰囲気のイベントになりました」

テレビや新聞など、いわゆる”ニュース”の中に登場する”福島”の文字は、不安や悲嘆とともに私たちの目に入ってきてしまう。しかし、その外側にはそこで暮らす人たちの生活があり、文化があり、新しく生まれていくものもある。【MUSUBU】が発信するのは、そうしたところにある”宝を伝えるメッセージ”だ。

「【MUSUBU】は常に”ワクワクすること”をやろうと考えています。”誰かのために・誰かが困っているから”ということよりも、まずそれに携わる私たちがワクワクするかどうかを大切にしているんです。そのことによって、携わってくださった方が一緒にワクワクして、それがみなさんに伝わればいいなと思います」

(取材日:2011年7月8日 福島県いわき市にて)

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