世界で一番面白い街をつくろう 〜石巻2.0の場合

*この記事は「わわ新聞13号「新しい未来つくりかた」特集(2014.11発行)」に掲載されたものです。紙面記事はこちら

震災を機に、人と空間をひらき、まったく新しいまちをつくるをことを目指す宮城県石巻市の活動団体「石巻2.0」。内外の人々を巻き込みながら既存の概念を突破し、すべての人がまちづくりの主役となるような仕組みをつくるという彼らの3年半の試みから、新しい未来づくりのヒントを探します。 協力:一般社団法人 ISHINOMAKI 2.0

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各コンテンツの詳細、お問合せ先は石巻2.0の公式サイトをご覧ください。http://ishinomaki2.com/

 

面白い街の作り方

松村 豪太さん(石巻2.0代表理事)

北上川の河口に位置する湊町、石巻は典型的な疲弊した地方都市であり、ここで生まれ育った僕はずっとつまらない街だと嫌っておりました。閉鎖的で、保守的で、面白い場所が無い…不満を感じながらも人ごとのように捉え、何もしようとしてこなかったのです。

そのような街が未曽有の災害を受けて世界中から注目され、多くの人々に駆けつけていただきました。アイディアを持った彼らに触発され共に行動するうちに、つまらないのは街ではなく何もしていない自分だと気付きました。

映画館が無いのなら空地にベンチを並べてビルの壁に映せばいい。宿泊施設が無いのなら空き物件を改修して手作りでゲストハウスを設ければいい。こうしたことを実行できたのは、震災直後の街ではしがらみや不合理なルール・常識がストップし、必要なことのために行動できる状態にあったからです。また、たくさん訪れたボランティアの中には街に残り、手作りでレストランをオープンしたりアパレルブランドを立ち上げた若者もいます。これから活躍するのはこういった存在であり、街を面白くするために必要なのは企業や工場の誘致よりも、面白い「人」の誘致なのだと思います。

大切なのは、こうした既成概念にとらわれない空間活用や、創造的なヨソモノと繋がったり、若者が楽しみながら移住できる機会を、経済的に回る形で仕組み化していくことです。

スティーブ・ジョブズの第一歩も、googleがスタートした場所もガレージでしたが、我々の拠点のIRORIもガレージを手作りで改修して生まれました。面白い場所はありませんが、空地や空き家はたくさんあります。そこにDIYで小さな「場」をつくる文化を育むこと、面白い街をつくるためには面白い人になること。こうしたことが必要なのかもしれません。

 

[石巻2.0が考える 新しい石巻をつくるキーワード]

1、オープンであること

立場やしがらみを超え、中の人も外の人もフラットにつながること。活動を見える状態に置くこと。

2、クリエイティビティ

デザインや言葉の力を大事にし、失敗を恐れずプロトタイプを産み出すことを試みる。

3、DIY

何でも手作りで作ってみることは、主体的に関わることにつながり、仕組みがわかるようになる。

4,既成概念にとらわれない発想

空間活用や人とのつながり方、ものごとの作り方などにおいて、前例や常識にとらわれないようにする。

5、双方向性

「やってもらう」「やってあげる」という一方通行ではなく、皆が主体的に関わる姿勢を大切にする。 6,反平均 多数決で得られる解答よりも少数派のセンスを大切にし、異端者が活動しうる寛容な状態を願う。

 

SUW2012野外上映
SUW2012野外上映
13_銀座復興バー2
銀座復興バー
21_石巻工房ワークショップ
石巻工房ワークショップ
12_いしのまき学校高校生ゼミ
いしのまき学校高校生ゼミ
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2.0不動産

    

内側から見える「石巻2.0」

[街の人] 正岡賢司さん(アイトピア商店街振興組合理事長)

石巻2.0代表の松村豪太くんとの出会い、とにかくうれしかった。街中に若者が集うことはあまりなかったからだ。あの日から、彼らに声をかけられ、よく集まりに出た。彼らはとにかくフットワークが良い。多くの人(全国からの来石者)を受け入れ、サポートするなど動き回っている。私には彼らの行動が「未来への“種”」を巻いているように見える。実際、彼らのまいた種は「石巻工房」や「イトナブ」といった活動のように芽をふき育っている。 若者の感性は尊い。願わくば、この石巻、この街に、根をはって活躍してもらいたいと願うのは、私だけであろうか!

[行政の人] 佐々木達也さん(石巻市復興政策部 地域協働課主査)

震災を機に、「石巻」をなんとかしようと、若者を中心として、様々な仕掛けを創り出し、さらには「石巻」を面白くしようという気持ちで大きな成果を挙げ続けています。今の石巻2.0は、追い風に吹かれグングン進む帆船のように見え、とても心強いものです。しかし、無風又は逆風になることもありますが、そんなときでも帆を巧みにこなし、グングン突き進む集団になっていただくことを切に願います。「帆」は、若者はもちろん、地元住民の理解や協力です。震災復興はもちろん、今後のまちづくりの核となり、その名前のとおり石巻のバージョンアップを担っていただきたいと思います。

 

わわ新聞vol.15「新しい未来のつくりかた」紙面はこちらからご覧ください。

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